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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
「結城とやらが社長になれると思っているのか」
「ええ、なれますよ。あなたは俺の言うことを聞くしかないですから」
「なんだと!?」
「今の時代、声でも文字でも、向島開発が何人もの代議士に賄賂を贈っていることや、談合で融通して貰っていることは、すぐあちらの場の方々にお伝えできるんですよ」
「なにを根拠にっ」
「俺や三上さんは、どんなセキュリティも突破できること、お忘れですか? この前お会いした時、そう警告したはずですが。今の訴訟内容も、その一部が含まれていますが?」
「……っ」
朱羽はスマホを鳴らすと、画面の結城がスマホを取り出しているような動きを見せた。
「結城さんも木島弁護士も、この内容を知っている。それを公表するかは俺とあなたの話し合いにかかっている。あなたの返事次第で、俺はここから話し合いはダメだったと合図を送り、彼らはあそこからマスコミに喋る手筈だ。追って訴訟内容が追加されるでしょうね」
すべては向島専務にかかっている――。
そういうシナリオを、皆で作っていたのか。
「俺としてはあの記者会見内容よりも、追加で喋る方が凄い犯罪臭がするんですが、いかがでしょう。このまま単純なネット犯罪の汚名を被るか、それ以上に政界を巻き込む戦いにするか。あのマスコミは、渉さんが忍月の力で動かしていることをお忘れなく」
朱羽のレンズが光る。
「俺達が引くか引かないかは、あなたの返答次第です――」