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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
***
「「いっただっきまーす」」
テーブルの上には、朱羽ご希望の和食。
おかずは鮭の切り身に大根おろし、だし巻きとほうれん草のおひたし、ひじきと大豆とゆかりをマヨネーズで和えたもの、豚汁の残り、そして、アボガドにたらことチーズを混ぜたものを餃子の皮に包んで揚げた。
餃子の皮、ちょっと残っちゃったから、アップルパイの具でも入れて後で揚げるつもりだ。
……豚汁はあるけど、さっぱりしすぎているかなと、簡単に油で揚げたんだけれど、和食ではないからこれはおまけ。
「これか、餃子の皮!!」
朱羽は哄笑して、口にした。
チーズが糸を引いて、特にそれを遮るために舌を動かすところなんて、見ているとなんだかエロい。
絶対無自覚なんだろうな。どれだけどこに色気を溜めているんだろう。
白いワイシャツの第二ボタンがとれたとこからかしら。あそこをじっと見ていると、鼻血吹き出しそうなんだけど。
「これも美味しい」
「お口にあってよかった」
「陽菜の味付け、凄く好みで……やば。幸せで顔にやけてきた」
途中口を手の甲で拭って、朱羽は真っ赤になって、横を向いた。
「朝食を作ってくれるひと、俺に出来たんだ……って」
ぽつりぽつりと、噛みしめるようにして朱羽は言った。
「小学生の時からいつも朝食、自分で作って……ひとりだったから……」
……なんとなくだけど、彼は、母親の愛に飢えているように思えた。
母親を中心とした家族の愛。
打算とか見返りなしの、女から無償に注がれる愛情。
甘い余韻を残して目覚めた時、朱羽から散々と、あたしが夢現に朱羽の子を身ごもった夢を見ていると、寝ぼけていたことをからかわれた。
よりによって、なんでそんな時にそんなことを言っていたのかと羞恥に顔を赤く染めていた時、
――あなたとはきちんとしてから子供を作りたいけど、それでも……もし、子供が出来たのなら、迷わず産んでね?
ベッドで笑いながらも、そう真剣に言った朱羽を思い出す。
きっと朱羽に本当の血の繋がる家族が出来たら、それは朱羽の心の支えになる。