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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「母さんも、とっかえひっかえじゃなく、俺と陽菜みたいに愛し合ってセックスをしていたのなら、今では……その気持ち、わからないでもないけどね。寝なくても食べなくてもいいから、繋げていたくなる飽くなき欲望。あなたを離せなくなるから」
「……っ」
「だから願わくば母さんが、父さんを愛しあって俺を産んでくれていたらいいなって思う。……もう、聞くことも出来ないけれど」
自嘲気な独白。
「生きているうちに、聞いておきたかったことはたくさんある。死んでから気づく。なんで俺は、母さんを煙たがって反抗して生きてきたかなって。……あなたに言ってなかったけど、俺、かなり荒れて喧嘩ばかりしてたんだ。母親を切り離したいのに切り離せない、それでいつも鬱々としてて」
「あたしと会った時も?」
「いいや。コンビニで助けられた時は母さんはそこまで酷くなくて、あなたを抱いて、あなたを探しに大学まで行ったあたりから、母さんが悪化して。俺は精神の均衡を崩した……」
「……っ」
「俺が荒れて暴力的になっているのに、学校にも行かずに乱した服装をしているのに、なんで母さんは俺を無視して、家で男とセックスしているんだといつも憤ってて。反抗して家を出ても、心配で家に戻ってみると案の定、男がいなければ食べることすら放棄してる。金を盗まれていたこともあった。男に頭から精液かけられて真っ白なものが乾いて悪臭を放ちながら、ぼんやりとしていて。と思ったら、裸だろうと外に出て、男を誘ってる。そんな母さんを無理矢理連れ帰り、食事を作って。そうじゃないと、母さん餓死してしまうから」
「………」
朱羽のお母さんの姿が、満月の時のあたしの姿にだぶる。
極限に至ると、自分がなにをしているのか、誰が声をかけているのかまったくわからなくなるから。
……だからといって、息子だと気づいてなかったのだろうか。
本当に?