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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
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朱羽が剥いてくれたりんごを六つに割って、五ミリくらいの薄さに切ること、林檎三種二個ずつ計六個。
バターを鍋で溶かして小麦粉と砂糖を入れてもったりとさせ、切ったばかりの林檎を入れて、シナモンやスパイスを混ぜて煮詰めていく。
冷蔵庫から取り出したパイ生地をふたつに割り、家から持参したのし棒でのばしていこうとすれば、朱羽がやりたいと目をきらきらさせるため、男の力で薄く薄くのばして貰う。
ショートニングを入れた生地はすぐに適度の柔らかさになって伸びる。
ひとつはナイフを入れて縦に細く切り、もうひとつは型の上に入れて、それを会社分と二組作った。
少し冷ました林檎を、型の上のパイ生地に乗せ、こんもりとした山に長く切ったパイ生地を格子状になるようにおき、型の上のパイ生地の切れ端を丸めていく。
上にハケで溶き卵をを塗ってオーブンに入れ、ふたりで覗き込んで微笑みあう。
朱羽がコーヒーを入れてくれている間、あたしは餃子の皮に包んだアップルパイの具を揚げる。
朱羽はコーヒー豆をミルで挽いている。
「本格的だね、あたしなんていつもインスタントなのに」
「渉さんが珈琲が好きなんだ。サイフォンもあるけど、そっちで淹れる? それともドリップ?」
「サイフォンといいたいけど、あたし濃いの苦手なんだ」
「じゃあドリップで、カフェオレにする?」
「いやいや、せっかく淹れてくれるなら、ブラックで飲む。飲めないわけではないんだ。疲れている時とかはブラックだし」
「陽菜はイキっぱなしで疲れているものね。お肌はつやつやだけど。あ、俺もかな」
「……っ、もう!!」
「あはははは」