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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「お前もだ、鹿沼!! お前がそんな選択とるのは俺、正直ショックだぞ!? なんでその前に俺達に相談がねぇんだよ。辛い時にない頭を振り絞って考えるのが、友達だろうが。そうやって来ただろう、俺達! ……鹿沼、俺はどうでもいい奴か!?」
あたしも頭を横に振った。
「だけど……、そうしたらシークレットムーンが、あなた達が、俺のために」
「だからさ、香月。切り捨てずにいける方法を考えろよ」
「え?」
「お前の天才級の頭、そういうところに働かせろよ。お前はひとりじゃないんだぞ。お前を支えようっていう人間がたくさんいるんだ。お前が俺達を助けてくれた分、俺達だってお前を助けたいんだよ。俺達を使うことを考えろ。俺達は色々なものを背負ってきて、俺達の個々の環境は、お前にとって色々な利点があるはずだ」
「利点……」
「お前のためなら、皆どこへでも行って土下座をしてでも、必ず勝ち取る。……最初にそう言ったのは、あの真下だぞ!?」
「"あの"は余計だ! 香月、私は役に立つと思うんだ。シークレットムーンの支柱に、ようやく今度は、私が役立てれると思うんだよ。……陽菜、私も一緒に戦わせて。友達として、同僚として」
「衣里……」
「そうっすよ、主任と課長がいなかったら、WEB部どうするんですか。忍月よりもっとやることあるっすよ? 俺は尻ぬぐい出来ないっす! それにうちの親父、シークレットムーンの顧問弁護士になってくれるって言ってくれたから、色々コネ使えるっす! きっと課長のお役にたてると思うっす」
「木島くん……」
「鹿沼ちゃんは、杏奈と違う選択をしたんだね。だったら杏奈、香月ちゃんや鹿沼ちゃんに色々アドバイスしてあげられることもある。杏奈に財界の知識があるんだよ? だから勝手に消えないで。どんなコンピューターにも忍び込むし書き換える。杏奈も力になれるはずだから」
「杏奈……」
「お前ら、俺達の団結力、思い知ってるだろうが。俺らシークレットムーンはお前のために動く。俺達を顎で使え」
結城の合図に皆が一斉に頷いた。
涙が止まらない。
まさか皆が力になってくれようとしているなんて。そんな選択肢、まるでなかったから。……多分、朱羽にも。
迷惑をかけることに怒る彼らではなかった。
一緒に戦おうとしてくれる彼らだということを、あたし達は失念していた。