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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
なんて、なんて素晴らしい仲間なんだろう。
どうだろう、朱羽。
少なくとも、あたし達の精神的な力になるのだから。背中を押してくれる力となってくれるのなら。
彼らの力を借りようじゃないか。
「――香月。お前なら、もうわかってるだろ? 俺達がお前の正体をわかっている理由」
……ああ、そうだ。彼らの物言いは、朱羽が財閥の御曹司で、抗争があるということを示唆していた。
それは彼らが知ったのは、多分――。
「お前が色々考えて自己犠牲を決めたように、違う方法でちゃんと色々考えて、言いたくないことを話してくれた奴がいるんだよ」
結城達は身体をどかした。
あたしと朱羽の前に道が出来、その奥にいたのは、
「お前が俺を守ろうなんて、百年早いんだよ、朱羽」
椅子に座って、腕組をしていた宮坂専務。
「渉さん、なんで……」
「仕方ねぇだろうよ。どんなに俺達にとってはトップシークレットの話だろうと、どう考えても俺が出来ることは……、シークレットムーンの連中の底力に頼るくらいしか思いつかなかったんだから。それじゃねぇと誰がべらべら喋るか、沙紀にもずっと言えなかったことを。自慢できる家柄ならまだしも、母親殺されてる、こんな酷いところなのに。だけどまあ、だからこそ、こいつらは一丸になってくれたんだがよ」
"母親を殺されている"
誰も驚かない。
そこまで専務は自分を曝け出して、皆に話したのか。
……恐らく自分のためではなく、朱羽のためだ。朱羽の心を守る力が欲しかったからだ。同時にそれが、この事態を打開できる術になると信じて。
専務の眼差しが険しくなる。
「なあ朱羽、カバ。俺は……お前らを犠牲にしてまで、沙紀と"こっち側"で幸せになりたくねぇんだわ。かといって"あっち側"にも行く気はねぇ」
沙紀さんが横について、専務の肩に手を置く。
童顔で小柄で、だけどパワフルな沙紀さんが、まるで聖母のように慈悲深い眼差しを向けて語る。
「私も話は聞いたわ。朱羽くんか渉か……だけどね、朱羽くん。どちらかだと悩むあたり、既にお祖父様の術中よ?」
「え?」