この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
 

 私もなにも疑いもなく、陽菜も香月もシークレットムーンに居て、私達と共にシークレットムーンを大きくさせて雅さんを安心させようと、力を尽くすものだと、そう思っていたから、だから陽菜のバッグから退職願を見た時は、血の気が引いた。

 私達は、彼らが自分のことを話して、私達に相談してくることを望んでいた。少なくとも陽菜は、私達とそうしてきたから、必ずまずなにかあるものと。そうしたら私だって、色々と助言できた。陽菜にも結城にもなにも言ってなかったけれど、それでも香月が置かれた立場がわかるのは、杏奈と……経験者である私だけだと思っていたから。

 私達は、専務の助言通り、恐らくは言い出しにくいだろうふたりから、辛抱強く聞き出して、どうすべきか皆で話し合う……そういうスタンスでいたのに、ふたりは既に決めてしまっていた。

 あの退職願の存在に、私は無価値だと言われた気がした。

 陽菜の一大事に私はなんの役にもたてないとは。

 結城もそう思っただろう。奴は香月にも裏切られた形になったんだから。

 直接言い出しにくいなら、私じゃなくても結城でもいい。言える相手になんでひと言でも、その気持ちを吐露してくれなかったのか。

 なんのために携帯電話がある。なんのためにメールが、LINEがある。

 杏奈と向島専務との一件で、杏奈を励まして向島専務に怒っていた陽菜と香月が、杏奈を取り戻すためにした言動すべてが、流した涙ですら、茶番に思えるじゃない。退職願を見た杏奈の顔、あんた達見てないよね?

 仲間仲間といいながら、大事なことはなにひとつ相談しないこのふたりを、真実の仲間だと思っていた私達の心はどこに向かえばいい。

 怒りが湧いた。悲しくてたまらなかった。

 だけど、結城はその気持ちを呑み込んで、私達の存在をわからせた。私の怒りすら、結城は抱えてくれた。

 私がどんなに営業の仕事をとっても、こういうところが結城には敵わない。彼が課長の肩書きを持っているのは、雅さんに認められているのは、その仕事ぶりだけではないのだと、結城の凄さを目の当たりにした。

 雅さんの会社を守る社長に相応しいと、本当に思った。

 この頼もしさ、その懐の大きさ。

 この男に、社員の……私の命も預けてもいいと、そう思った。
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ