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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
 

 結城に見たのは、雅さんのような"希望"。

 なんとかなるんだと思わせるだけの力に溢れていた。

 結城が社長になるシークレットムーンは変わる。

 結城が率いるシークレットムーンの社員全員が後押しするんだ、これから伸びるこの会社に、陽菜と香月がいないなんてありえない。

 危機なんて、皆で力を合わせればなんとかなること、思い知ってきたでしょう?

 財閥がなんなのよ。
 本当になんだというのよ。

 陽菜達はひとりじゃないんだよ。

 険しい山ならば、私達が踏みつけてあげるから、私達の身体を踏んで上を目指せばいい。

 私達はいつだって緩衝材になれるのに。

 陽菜、私は同性の友達がいなかった。

 私の世界は雅さんがすべてで、友達なんてどうでもいいと思ってて。むしろそんな友情ごっこをする暇に、いかに雅さんの会社を大きくするか考えた方が楽しいと思ってた。

 家を出た私は、雅さんが用意してくれたマンションに住み、雅さんが勧めてくれた大学に行きがてら(お金は借りて、もう返した)、社会勉強のためにとファミレスを始めとした、接客業のアルバイトをした。

 本当は陽菜と結城が通っていた大学を勧められたけれど、私は、雅さんが唯一褒めてくれた営業力を磨きたかったから、行動心理学科がある大学にした。もし勧められるところに行ってたら、陽菜と結城に会えてたのかな。

 雅さんの会社にようやく入社できた時、同期で入って来たのが、結城とあんただった。

 最初はおどおどして私の顔色を窺ってばかりいたあんただったから、私もあえて声をかけずにつーんとしていたかもしれないけど、それでもあんたが勇気を出して、週末に鍋パーティに誘ってくれたから。泊まらせてくれたから。

 そこにいつしか結城も加わって、色々なところに行って遊んだね。色々なことを話したね。

 私にとっての友達は、陽菜……あんたが最初だったんだよ。

 あんたのおかげで、私は……、雅さん以外にも笑うことが出来た。頑張ろうっていうガッツを貰った。

 ……過去を言わなくても、結構いい友達出来ていると思ったんだけどね。

 私は初めて出来た友達という存在を、軽視しすぎていたのかもしれない。

 もっともっと、枯れないように育てていかないといけないものなんじゃないかと思うようになった。
 
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