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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
香月にも、色々助けて貰ってたじゃない。
陽菜しか見ていない男だけれど、それでも……会社の危機には、涼しい顔をしながらも、私達がなにも言わないのに率先して助けてくれたじゃない。
私、恩知らずじゃないのになあ。
結城と香月、代わる代わるのボケとツッコミ、見ていて結構面白かったんだよ。多分、香月は無自覚だろうけど、とても活き活きとしてた。
私が多大なる友情と恩を持っていることに、どうしてあんた達は気づかなかったのかな。
それが悔しくてたまらない。
誰一人頼られなかった皆は、きっと同じことを思ってる。
自分の無力さを。
だから皆は、各々の持ち分生かして動くだろう。
はは、陽菜。結果オーライかもよ?
少なくとも、あんた方があたし達にとってかけがえのない存在だということを再確認する、いいスパイスになった。
今度は、また捨てられないように、動かなきゃね。
「なあ香月。お前と鹿沼が本家に滞在することになっても、お前達は戻るまで休職扱いで、どこまでも籍を置いておく。忍月にだって、きっちりはっきり言ってやるから。香月も鹿沼もうちのものだって」
「結城さん……」
「香月、鹿沼とここが"帰る場所"だ。だからいつでも帰ってこいよ、お前のすべてを、無条件で俺達は受け入れるから。お前がたとえ、忍月の次期当主になっても、俺は偉そうにお前の友達兼、お兄様だ。お前と鹿沼が生きている限り、俺達の家族だからな。俺達家族は、お前達を守るために走る。家族なんだから、当然だ。だから頑張ろうな」
「はい」
「それと、鹿沼を離す前に俺に言え。俺がまたお前をぶん殴って、踏みとどまらせてやるから」
「はい。ありがとうございます……」
「ぐすっ、俺、結城さんに惚れそうっす!! あんなにお揃いのスマホカバーを嘆いて、くったりしてたのに」
「お前、それ言うなよ、アホ木島!! う、羨ましかっただけだ。いいカバーだから……邪推するなよ香月、なんだよその目!」
「はは」
「笑うなよ、なんで笑うんだよ、香月っ!!」
……ようやく私は動ける。
これはね、いいきっかけだったと思うんだ。
雅さんも専務も、私がどこの誰かを知っているくせになにも言わないから、本当に背中がむずむずしてたんだ。
私は初めて、あの家に生まれてきてよかったと思うよ。