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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「渉、鹿沼を呼んでくれねぇか?」
月代さんはスマホを握りしめていた。
「それがですね、今全員で……迷い猫を探しに行ったようなんです」
俺は頬を掻きながら言う。
「迷い猫?」
「はい。朱羽まで笑顔で、幸福の白いネコだとか。ネットでTwitterの記事なんか見ていたようで」
月代さんはなにかを考えるようにして言った。
「香月が、先頭に立ったのか?」
「まあ全員が探しに行くことに反対がないということは、朱羽がさしずめカバあたりを扇動していたとは思いますがね、そうでないと退職願出すほど思い詰めていたカバと朱羽が、ネコを探しに皆を連れて出かけないと思うんですが。それがなにか?」
月代さんは薄く笑った。
「渉、その飼い主は誰だ?」
「さあ? 懸賞金が付いているから金持ちだとは思いますけど」
「名取川文乃がな、カバと会う条件を出してきたんだよ。だからカバを呼ぼうとしたんだが」
月代さんは、その内容を口にする。
「それが、ネコを探せというんだ。昨日から家出をした……真っ白い、スコティッシュフォールドの子猫を。彼女もSNSを使って懸賞金をかけるほど、切羽詰まっているらしい。話を聞ける状態ではないと言うんだ」
「……は? ま、まさか……」
名取川文乃のネコを探しに行ったのか!?
わかってて!?
それとも、知らずに!?
「名取川さんは気難しい。そして自分のネームバリューをわかっているから、近づく者達を警戒する。その中で、鹿沼達がどう彼女の心をほぐすか、見てみようじゃないか」
月代さんは、弱いながらも声をたてて笑った。
「天は、俺達をまだ見捨ててはいないようだ、渉」
すべては繋がっている――。
そうカバに話したばかりで、迷い込んできた"幸福の白いネコ"。
……さあ、捕まえてこい!!