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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
***
探索グループは、あたしと朱羽、結城と衣里、木島くんと杏奈の三組の他、木島くんの連絡で駆けつけてくれた、他社員20名あまりがペアになった。
朱羽と昨夜居た、高台付近を中心として大捜索。
昨夜車で上ったところを歩いてみるとなかなかの傾斜があり、長く続く……ちょっとした山道だ。これならネコも下るのが大変そうだ。
雲ひとつなき晴天が広がり、乾いた地面からも豪雨が降ったようには思えないが、脇にある大木の影はまだ濡れていた。
ネコはどこにいるのだろう。
雨を凌ぐために頂きに戻ったのか、それとも別のところにいるのか。
無事ならばいいが、事故にあったとか衰弱していなければいいけれど。
飼い猫であるのは間違いないから、結城が保健所や市役所に連絡してくれたが、それらしきネコは見かけていないらしい。衣里が営業らと付近の動物病院をスマホで調べ上げて電話したが、特に運ばれてはいないようだ。
山道を手分けして探すことになった。
あたしは、ここに来る時近くにあった靴屋で買った、特売の安いスニーカーに履き替えている。
さすがに朱羽から貰った靴では、汚泥を気にしてしまうため、なにも出来ないからだ。
激安税込み650円。あたしの靴のサイズに合うのはハートのワッペンがついているのしかなくて、皆に笑われたけれど、もしかすると1回きりになるかもしれないし、それにした。
そして今、木陰を探索しているあたしの靴は、見事にぬかるみにはまったりと、真っ黒になってしまっている。
追加組は皆スニーカーで来たからよかったものの、朱羽と結城、木島くんは革靴を、杏奈はブーツを汚してしまっている。
「タマ、シロ、ニャンコ……いないね~」
杏奈が色々な呼び方で木陰を探すがいないようだ。