この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
 

 ***


 社長が、対株主総会のため、対忍月のためにと言っていた「名取川文乃」と偶然出会ったのは偶然なのか、必然なのか。

「はい。彼女が飼い猫がいなくなったと、大騒ぎをしていたのを知っていましたが?」

 それがなにか?とでも言わんばかりの朱羽の回答。

「お前、先に言えよ」

 そう結城がぶーたれたが、朱羽は悠然と笑う。

「金持ちのネコならあなた達は動かないでしょうけど、病人や弱者のためなら動く。だからです」

 なぜか朱羽に懐く子猫。

 泥がついた毛先から泥水滴り落とすような、きったないネコのくせに、朱羽に抱かれるとうっとりとした目をしておとなしい。朱羽の背広やワイシャツが泥だけになってしまっているからと、結城や衣里や杏奈、他の社員が抱こうとするとネコは不機嫌そうな声を出して嫌がり、あたしや木島くんが抱こうとするとぶるぶるを始めて、フーッと威嚇する。

 ネコの中にある愛情の三段階のうち、あたしは最下位らしい。

 なんで木島くんと共にあたしがそこまで嫌がられるのかがよくわからない。だけどまあ、朱羽に惚れるのは人間でもネコでも同じか。あたしと朱羽がしちゃっている場面を見て、あたしに敵対心を抱いたのかしら。この色惚けネコはメスに違いない。

 ……悔しい、あんなにべったり朱羽に抱きついて。

 昨日はあたしが抱きついていたのに。朱羽もあたしだけを抱きしめてくれてたのに。

「主任、どんまいっす!」

「鹿沼ちゃん、お顔怖いよ?」

「……陽菜、相手はネコだから」

 三者の哀れみを受けながらも、なにかもやもやが止まらない。

「……。鹿沼、俺がネコのように抱き……うわあ、香月! お前泥ついた靴で俺の靴を踏むなよ!」

 なにやらダンダンダン!と三度ばかり音がした。
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ