この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「しかし、杏奈も衣里もいい胸してるね。ウエストは細いし、羨ましい」
思わずそうぼやけば、杏奈が意味ありげに笑う。
「杏奈はもう成長出来ないけど、鹿沼ちゃんは香月ちゃんに頑張って貰えば、大きくなるんじゃない?」
「な……っ」
「香月、涼しい顔して陽菜にはかなりがっつりの肉食系の気がするから、陽菜はそのうち巨乳通り越して、爆乳になりそうだ」
「衣里までっ! ならないわよ」
「へぇ、肉食系のところは否定しないんだ?」
「……っ」
「陽菜はきっと死ぬまで、でかチチになるよ? ギネスに載ったりして」
「ならないってば、気持ち悪い!」
あたしは胸の前で、両手をクロスさせながら叫んだ。
衣里も杏奈も笑う。
「よぉし、もういいかな? ヴァイス様、二度目のシャワーで流してもいいですか?」
「みゃ~」
人間後を理解しているのか、ネコが偉そうに鳴いた。
「しっかし、このネコちゃんのお名前、ヴァイスって言うのか。だから杏奈が呼んでも返事しなかったんだね。立派なお名前ついてたんだー」
「はっは。ヴァイスはドイツ語で『白』っていう意味だよ、日本語か外国語かの違いで、考えることは一緒」
衣里が朗らかに笑う。
「さすがに真っ黒だったら、名前負けしちゃうね」
あたしも釣られるようにして笑った。
衣里がシャワーをあて、あたしと杏奈がネコの毛についた泡を落とす。
今度は、タイルを流れる湯に黒は染まっていなかった。
「しかし、濡れたネコって貧弱だね」
抱き上げて笑ったあたしに、ネコは睨み付けるような顔をした直後、水分を含んだ毛でぶるぶるをされた。
「きゃっ、目に入った。このネコ……なに、ちょっと!!」
そして暴れて、ネコは広いタイルの床を走り出す。
「捕まえて捕まえて!!」
尻尾をふりふり、白い奇妙な生物は飛び跳ねるようにして走り回る。
浴槽に居た五人も走りながらネコを追い詰めていくと、ネコはなんと壁にあった小さな隙間を潜って、向こう側に行ってしまった。
「やばい、外だったら!」
あたしが壁に手を触れた瞬間、壁が忍者屋敷のようにくるりと回転して、どさりと奥に投げ出された。
でも痛くない代わりに、ぐへぇと蛙が踏みつぶされたようなおかしな声がした。