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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
***
あたし達は、季節外れの浴衣である。
女も男も――。
というのも、賑わいを見せて男女混同となった浴室から出たものの、更衣室で下着を残して服が消え、代わりに置いてあったのが白い襦袢と浴衣。
女性陣は、紺地に白と薄いピンクの花柄という定番の浴衣であるが、皆それぞれに帯の色が違う。
あたしは藤色の帯で、衣里がエメラルドグリーン、杏奈がワイン色。その他、水色、黄色、オレンジ、黄緑、赤色とある。
あたしと衣里と杏奈は浴衣の着付けが出来るから、他5人の子を手伝い、全員でお揃いなんて、姉妹みたいだねと笑いながら更衣室を出ると、反対側から男性陣がぞろぞろとやってきた。
結城は白帯で、紺色のストライプが入った浴衣、木島くんは黒帯で、灰色のストライプが入った浴衣。他も皆それぞれ色合いが違い、同じ浴衣のひとはいない。
「おお、お前達も浴衣か」
結城は肩幅があって体格がいいから着物が映える。どこかの若旦那のような貫禄がある。
「すげーいいじゃん」
結城が笑う。
「ありがと。結城若旦那」
「なんだよ、それ~」
結城は顔をくしゃっとして笑った。
「……俺、また鼻血吹き出しそうっす。なんっすか、俺、失血死させたいっすか?」
……木島くんは、若旦那に仕える丁稚だな。前髪を頭の上にぴょこんと縛って、廊下駆け回って雑巾がけしてそう。
わいわいがやがやと和やかムードの中、朱羽の姿が見当たらない。