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*。:゚+ 小鳥遊 医局長の結婚生活+゚*。:゚
第3章 つわりの洗礼
…あれ?

小鳥遊の胸に抱きついて深呼吸をした。

…いつもの爽やかな香り。

「あれ…ガクさんは大丈夫だ。」

小鳥遊はそのまま静かに抱き寄せていたが、犬の様に匂いを嗅いでいる冬を見て笑った。

「どうしてかしら…不思議。」

その後も、冬は何度も抱きついて深呼吸をして小鳥遊の香りをかいでいた。

「ではこれからは、毎晩僕と寝ましょう♪」

寂しそうにお風呂場に向かった今泉を横目に、小鳥遊が満面の笑みを浮かべて言った。

…だが…断る。

「今日から自分の部屋で寝ます。早くご飯食べないと遅刻ですよ。」

冬は小さな洗面器を持って弁当を詰めたり、ウロウロしていた。笑ってはいけないと思いつつもその珍妙な姿に小鳥遊は声を出して笑った。

「自分のことは自分で出来ますから。」

今泉がシャワーから上がってきた。

「…ホントにごめんなさい。」

冬は寂しそうだった。今泉とは、普段から小鳥遊の数倍は、手を繋いだりベタベタするのが日課で、それが愛を確かめ合う方法だったからだ。

「朝から嘔吐の洗礼を受けると思わなかったんでびっくりだよ。」

今泉が笑いダイニングテーブルについた。

「トーコさん。僕らのことは気にせずにゆっくり休んでね。」

小鳥遊が静かにお茶を飲んだ。

「病気じゃないから…平気よ。」

…吐くものが無くなり、落ち着いた。

「暫くは香りがあるのは、駄目ですね。」

さりげなく言ったつもりの小鳥遊だったが、ウキウキとした気持ちが言葉の端につい浮かんでいるのを感じた。

「静さんの香り大好きなのに…くっつけないと分かると余計にくっつきたくなる…ううっ。」

今泉に抱きつくと、冬は慌てて洗面器を抱えてキッチンへ駆け込んだ。

「なんか…ちょっと寂しいかも。僕の匂いそんなにきついかなぁ。」

今泉が自分のシャツの香りを嗅ぎながら寂しそうにため息をついた。春も小鳥遊もそれを見て笑った。新聞を広げて読み始めた小鳥遊は、冬を独り占めできると内心ほくそ笑んでいた。

「ずっと続くわけでは無いでしょうし、そのうち良くなるでしょう。」

小鳥遊は今泉をちらりとみた。

…変態エロ…ちょっと意地悪なこと考えてるな。

そんな小鳥遊の様子を冬はじっと見ていた。
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