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壊してほしい
第1章 拾った女の子
厨房内に戻ると、
雫石が小声で(あのー。
業者さんの声は構わないのですか?)と言う。


氷月は(……ホントは嫌なんだけどね。
本読んでたら基本静かに居たいでしょ?
通用口がないから仕方ないんだ)と説明した。



雫石は頷き、
食洗機のスイッチを押した。


『あの〜〜〜。
お兄さん……』


老婦人が片手を挙げる。


『――はい』
氷月はオーダー表を手に丸テーブルへと歩いた。


『さっきね、
サラダと果物お断りしたけれど……
やっぱりいただいて良いかしら』


『はい、大丈夫ですよ。
かしこまりました』



氷月は厨房内にてサラダを作り、
フルーツを手早く切る。
角切りにしたフルーツをグラスに盛った。


アップルティーを新しく淹れ、
トレーに載せて運ぶ。


『お待たせしました』

カタン…とテーブルに置いていく。


氷月はこのカタン…が何気に好きだ。


隣町に見習い修行に行っていた頃はガチャン!と音を立ててしまい、
何度裏手で怒鳴られたら知れない。


『ありがとう』
老婦人はサラダを食べ始めた。
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