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壊してほしい
第1章 拾った女の子
カプチーノを淹れると、
(はい。飲みなよ)
と雫石にカップを渡した。


雫石は(……ありがとう)とカップを両手で持ち飲む。


客が捌けていき、
午後2時には客の数は0になった。


『―――お昼はお客様たくさん来るんですね』


『ん?
まぁね。郊外の寂れた喫茶店でも客は来るもんだね』氷月は午後用のケーキを焼いていた。


作りすぎると赤字になるため、
〔本日のケーキ・アップルパイ〕〔本日のケーキ・チーズタルト〕
など日替わりメニューにしている。


黒板に書いて出したりもしないので、
客はオーダーする際にしか知り得ない。


それでも来店する客がいるのだから、
――経営者としてはダメなのだけど――物好きはいるものだなと思う。



『……本、見てもいいですか?』


氷月は焼き上がったアップルパイを切り分けながら『いいよー。
変な本ばっかだけど』と返事をした。
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