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壊してほしい
第1章 拾った女の子
集中して切る。
サクサクとパイ生地の音がした。
『きゃあ!』
雫石が小さく叫んでビックリした。
危うく器具を落としかけた。
『どうしたの……』
(ビックリした……)
『あ、すみません……
驚かせちゃいましたよね……
好きな本があったから、
ビックリしちゃって』
氷月は顔を上げた。
『何て本?』
『「暁に君が浮かぶ」って戦争時代のお話です。
あんまりメジャーな作家さんじゃないんですけど』
『本、好きなんだ?』
雫石は文庫本をペラペラと捲った。
『はい。
好きです。1枚捲ったら、嫌なことを忘れ……』
言葉を切った。
『―――感動できるんですよ!
哀しいお話なんですけど』氷月を見て笑った。
無理やり笑ったように見えて、
氷月は慌ててアップルパイに視線を戻した。
サクサクとパイ生地の音がした。
『きゃあ!』
雫石が小さく叫んでビックリした。
危うく器具を落としかけた。
『どうしたの……』
(ビックリした……)
『あ、すみません……
驚かせちゃいましたよね……
好きな本があったから、
ビックリしちゃって』
氷月は顔を上げた。
『何て本?』
『「暁に君が浮かぶ」って戦争時代のお話です。
あんまりメジャーな作家さんじゃないんですけど』
『本、好きなんだ?』
雫石は文庫本をペラペラと捲った。
『はい。
好きです。1枚捲ったら、嫌なことを忘れ……』
言葉を切った。
『―――感動できるんですよ!
哀しいお話なんですけど』氷月を見て笑った。
無理やり笑ったように見えて、
氷月は慌ててアップルパイに視線を戻した。