この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
テリトリー
第3章 超童顔、拓海
外は薄暗く、ほんの少し肌寒かった。上着を着てくれば良かったなと思いながら歩いていると、公園のベンチで何やら中学生らしき少年がぼーっと座っていた。自分が悲しみに暮れている時ほど、同じ境遇のものには優しくなれるのだろう。サクラは迷うことなく少年の側へ駆け寄った。
「こんばんは!どうしたの?こんな暗い時間に。早く帰らないとお家の人心配しちゃうよ?」
すると少年はゆっくりと顔を上げ、サクラをじっと見つめた。
「…何?私に何かついてる?」
とても顔立ちの整った少年だったので、じっと見つめられると身動きがとれないほど緊張した。
「……お姉さんも、悲しいことあったの?」
「…え」
心の奥を見透かされたような気がした。
「……お姉さん、とても辛そうだよ。僕と同じだね」
憂いを帯びたその瞳は少年とは思えないほどの色気さえ感じさせた。
「あの、さ……ウチ、来ない?辛いコト、一緒に忘れちゃおうよ……」
「ホントに、忘れられる?」
「うん…どんな辛いことも、悲しいことも吹き飛んじゃうよ」
サクラはイケないことだと知りながらも、お互いの悲しみを救えるのはお互いしかないと自分に言い聞かせ、少年の手を引き、歩き出した。