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淳、光と闇
第8章 小さな子悪魔
「主任…」
淳は次の休みから
指定された施設に通った。
「こんにちわ…
**から来ました
淳と言います。」
「いらっしゃい!!
お待ちしてましたわ…」
施設長のゆりかが
にこにことしながら出迎えた。
「お世話になります…」
「どうぞ…こちらへ…」
ゆりかは淳を職員室に迎え入れた。
「名前は淳さんね、
まず、ここの
施設の子供達は…
病気ですが治らない病気です。
ですから…
余計な情けは無用です。」
いきなり言われて
淳はびっくりしてゆりかを見た。
「子供達の多くは
再生不良性貧血…
つまりは白血病です。
後は筋ジストロフィー…
いずれも20歳までは
生きられません。
その事をしっかり頭の中に
入れて置いて下さい。」
「え…??
白血病…」
「そうです…
白血病がどうかしましたか?」
「い、いえ…」
淳の頭の中には
武の笑顔が広がっている。
「出来ますか…?」
「… …頑張ります…」
「そうですか…
淳さん、帰った方が
良いですね。」
「え?」
「貴方の目の中に
白血病に対する
悲しみが見え隠れしています。
そんな事では
ここでは勤まりませんよ?」
「私…」
「貴方は…最近、
大切な人を白血病で
亡くしましたね?」
「は、はい…」
「貴方の白血病の
病名を聞いた時の
驚きようは半端ではなかった。
恐らく大切な
肉親をなくしたのでしょうが…
ここでは日常茶飯事です。
その度に…
そんな悲しみの目をされては
園児達にも悪い影響を与えるし
あなた自身、
精神的に持ちませんよ。」
「はい…」
「ここで働くのなら…
気持ちをしっかり持って!!
時には鬼となること…
覚悟なさい!!
下手な同情は逆効果です!!」
ゆりかに叱咤されて淳は動揺した。