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第20章 トランぺッター龍二、悲しみのレクイエム

「まただわ…」

詰所で結花がまたぼやいた。

ここ、数か月の間に淳の勤める病院で

特に淳の在籍している内科で患者が

逝ってしまうと必ず何処からか

トランペットの物悲しい

メロディが聞こえてきた。

「これ聞くと…
泣けちゃうのよね…」

ゆりもこの悲しい音色には参っていた。

「でも、どこから？？」

さゆりはトランペットの音色が何処から

聞こえてくるかを探したが見つらない。

「困ったわね…」


その頃、淳の病棟に

ある女性が入院してきた。

名前は樹里。

１８歳になる女性だ。

樹里は脳に初期の癌が見つかり

ここで治療を受けていた。

樹里の癌は手術では摘出できない。

薬での治療も効果は薄かった。

余命僅か…

そして樹里には婚約者がいる。

龍二　トランぺッターだ。

最初、看護師達は龍二が

トランぺッターだと言う事は知らなかった。

しかし、龍二は音楽業界では世界的に

有名なトランペットの第一奏者。

そんな龍二は誰よりも樹里を愛して

毎日病棟に樹里を見舞いに通っている。

そんな龍二を樹里は毎日待っている。

毎日千羽鶴を折りながら…