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淳、光と闇
第20章 トランぺッター龍二、悲しみのレクイエム
樹里が旅立った日、
龍二はビルに向かった。
それをさゆりとみゆ、
そして勝枝が引き留めて
「龍二さん、今日は
ここ、病院の屋上で
トランペット
吹いてくださらない?」
「迷惑では??」
後ろを向きながら龍二は聞く。
「お願いです。
病院で吹いて。
樹里さんの心が
残っているこの病院で…」
「… … 」
龍二は黙って病院の屋上に上がり
トランペットを吹きだした。
悲しい…物悲しい…
寂しく…辛く…
悲しい音色だった。
高らかにペットの音色が町中に響く。
それを省吾と由美、淳は
涙を流しながら聞いていた。
「旦那様…私…私…」
由美と淳は省吾に縋りついて泣いた。
たからかに響くトランペットの音色は
樹里の魂を天国に運んだ。
「樹里…」
龍二はいつまでも
トランペットを吹いていた。