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第29章 省吾の入院

「うぅぅん…」

「旦那様…」

じっと涙目で見る淳…

「分った…分ったよ…
淳ちゃん…
全く…淳ちゃんにはかてんわい…」

「有難う御座います！
旦那様…淳はうれしゅうございます！」

「ははは…そうか…
しかしな…いつもの病院は…
食事がまずくてなぁ…
そんな評判なんじゃよ…」

「そうですか…
では、旦那様…
淳が勤めている病院では…
いかがでしょうか？」

「なんと？
淳ちゃんの病院とな？」

「はい…
検査機関は一通り揃っております。」

「うーん…
で、淳ちゃん、
医師の腕は？？」

「はい、優秀で御座います。
ただ、ちょっと…
変わった医者もおりますが…」

淳は健を思い出した。

「なんと…
変わった医者とな？」

「はい…でも気にしなくて
良い範囲かと淳は思います。」

「そうか…
淳ちゃんの推薦する病院は
安心できるわい…
では、由美君、淳ちゃんの
勤めている病院で検査してもらおう。」

「ハイ…
直ちに手配、支度をいたします。」

「旦那様…」

「なんじゃ？」

「一つ…お願いがございます。」

「淳ちゃん、
言ってみぃ…」

「はい。
淳の勤める病院は
一般病院で御座います。
さすれば…いくら旦那様と
言われましても…
他の患者さんと淳は差別も
区別も致しませんが…
それでも宜しいですか？」

じっと省吾を睨む淳。

「ははは…
淳ちゃんに睨まれたら…
わしとて我侭いえないわい。
分ったよ…」

優しい目の省吾。