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第38章 ゆりの願い、母の祈り

「おい結花！！
聞こえるか？
ゆりが交通事故？？
意識はあるのか？
子供は？出血の量は？
血圧は？？
いいか？絶対に…
車の中で出産させるな…
子供に怪我や内出血の
疑いがある。
絶対に…生ませてはならん！！」

結花は

「そんな事言ったって…
生まれそう…」

「馬鹿ぁ！！
絶対に生ませるな！！
子供を助けたかったら…
そこで生ませてはならん！！
いいか？つっぺしてでも…
ここへ連れて来い。
分ったか？」

「は…い…」

隊員が無線を聞きながらゆりの足を

高く上げて出産を必死で抑えている。

「間に合え…」

結花と省吾はゆりの手を握り

「頑張れ…もうすぐ…
助けてやるぞ…
ゆり、頑張るんだ…」

祈る様な気持ちで省吾はゆりの手を握った。


その頃、救急救命では

「咲！！大至急！！
淳、ゆりが危ない。急げ！！
与太郎！！遅れるな。
美紀！！準備を怠るな！！
皆、急げ！！」

健の指示でチームスタッフは

救急救命へ急いだ。

咲が途中で眼科詰所に飛び込んで

「電話借りるわよ？」

と院内電話に飛びついた。

「な、何なの？？」

看護師達が鬼の様な咲の目に脅えている。

咲は婦人科の良子を呼び出した。

「婦長！！ゆりが…
事故で…大変なの！
助けて…子供を助けて！！」