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第38章 ゆりの願い、母の祈り

その後ゆりは退院した。

「ゆりちゃん、産後の日立ち
良いみたいね？」

「はい。」

「ねぇ私にも…
赤ちゃん抱かせて…」

「うん…落とさないでよ？」

「分ってる…」

淳はゆりの子を抱いてまるで

母の様な表情で…

「私の…赤ちゃん…」

「駄目よ？その子は…」

「分ってる…」

「ところでゆりちゃん、
産後はやはり院長先生のところへ？
それとも省吾様のところ？」

「いいえ…
私…寮で産後を送ります。」

「え？？」

「私と結花は
寮で育ち寮で暮らしてきました。
ですから…産後の療養も…
寮でしたいと思います。」

「そう…でも…
院長先生も省吾様も
良く承知したわね？」

「それが…全然…」

そこへ院長夫妻が詰め所に

怒鳴り込んできた。

「ゆり！！どうして産後を寮で？
絶対に許しませんよ？」

そんな騒ぎのところへ省吾もやってきて

「ゆり、寮で産後の療養などと…
わしは絶対に許さんぞ？」

「ほらね…」

ゆりは舌を出して笑った。

「何を笑っているのです。
ゆり、きちんと聞きなさい！！」

院長婦人が怒っている。