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職業別短編ストーリー
第8章 姉弟 柚木の場合
珍しく瞬は練習を早く切り上げて

家で寛いでいる。

柚木は大学から帰ってきて

詩を書いていた。

外は大嵐になって外出さえもままならない。

大型の台風が二人の住む町を直撃した。

「凄い天気のなったわね。」

「姉ちゃん、この台風は
半端ないな…」

「瞬、戸締り大丈夫?」

「さっき見回って雨戸を固定して
飛ばされる物…全部中に入れたから
大丈夫だよ…」

「それなら良いね。
ま、久しぶりに家でのんびり出来るわ…」

「そうだね…
最近すれ違いが多いから…」

「そうね…
瞬…少し早いけど…」

「あぁ…」

二人は床の間に行き両親の仏壇に

ローソクをつけて線香をつけて

両親の冥福を祈り手を合わせる。

「お父さん…
お母さん…
私と瞬…
何とか生きています。
来年ね、瞬がプロ野球から
指名を受けることになったの。
凄いでしょう?
安心して…」

「親父、母さん…
俺は姉ちゃんを守りながら
二人とも元気で生きています。
姉ちゃんね、また…
ヒット曲を書いたんだよ。
俺とは違って姉ちゃんは
その才能があるから
俺は今迄好きな野球が出来た。
これからも姉ちゃんを…
守っていくからな。
だから、安心しろ?」

兄弟二人は仏壇で笑う両親に

手を合わせて最近の報告をして

冥福を祈った。


「さて…ご飯にしようか?」

「そうだな…腹減ったよ。」

「育ち盛りね?」

「それ位動くからな。」

「今日は…焼肉よ?」

「楽しみぃ…」

二人は揃って夕食をとる。

外は嵐…

「やっぱ…凄いな…」

「瞬、姉ちゃん…
怖いよ…」

「台風のほうが逃げ出すんじゃ?」

「こ、こら!
瞬!どういう意味よ?」

「そのまんま…」

「焼肉、返しなさい!!」

「やだ…」

笑いながら夕食をとる二人。
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