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淫徳のスゝメ
第3章 私が最も華やいだ頃のこと

* * * * * * *


 少女達の呻吟が、初夏の夜陰を湿らせていた。


 合宿最後の夜、私はまづるさんと早々に宴を引き上げた。

 二つある寝台の一つに横になって、私達は眠りの門を眺めていた。



「こんなに早く戻って、良かったのかしら」

「良いじゃない、私達、ゲストだし」

「明日で終わりね。たっぷり満喫してしまったわ。身体がとろけてしまいそうだったほど」

「姫猫さんのハーブ風呂は、私もとろけそうになったかな」


 可愛らしくシーツを抱いて、まづるさんがくすりと笑った。



 同じ匂いが、私とまづるさんを抱いていた。私が屋敷から持参していた、ハーブの入浴剤の名残りだ。



「疲れちゃった?」

「ううん」


 今しがた私の前髪を崩した指先が、離れていった。

 いたずらな愛撫に重ねて、今度は、髪を整える優しい手つきが私の額をくすぐる。


 私は、まづるさんにすり寄った。


「こんな風に、修学旅行でも、気心知れた人とゆっくり過ごせることってなかったから……」

「そんなこと言って。姫猫さん、人気じゃない。引っ張りだこだったということ?」


「──……」
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