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結花の御主人様
第28章 最終章 天才、風香と翔
「こら、おばさん!!
卑怯だぞ!!」

「へへへ…
どう?これでもバンドしないの?」

「くぅぅ…
この卑怯者!!」

「何とでもおっしゃい。」

「お兄ちゃん…」

袖を引っ張る美香に健は

「美香ちゃん達の頼みじゃ…
仕方ないな…
見てろ、格好の良い所…
見せてやるよ。」

にっこり笑って三人の頭を撫でる健。

「やったぁぁ!!」

無邪気に喜ぶ三人を見て健は

「俺も…遂に焼きが回ったか?」

と苦笑い。

「で、おばさん、バンドやるのは
いいけど俺は何をすれば良いの?」

「そうね…あのね…
健君ベース弾ける?」

「まぁな…昔弄った事があるが…」

「なら…ベース決定!!」

「それでメンバーは?」

「うん、結花がギター、
ゆりちゃんがキーボード、
健君がベースでしょう。
そしてドラムは武君。」

「武も被害者か?」

「失礼ね!!
武君は結花の言う事は
聞いてくれるのよ。
誰かさんとは大違い。」

「うるさい!!
それで…一番大事なボーカルは
どうするんだ?」

その時美香が手を上げた。

「美香…ボーカルする!!」

「ははは…
美香ちゃん、もう少し
大きくなったらね?」

健がにっこり笑って美香の頭を撫でた。

「つまんない…」

「だ、駄目だよ!!
美香ちゃん!」

勇太と良太が必死で美香を止めた。

「うふふ…」

それを結花が優しい目で見ている。

「でも、困ったわ…
ボーカルがいない…」

その夜結花は龍に

「ねぇ、貴方…
ボーカルしない?」

「はぁ?俺がか?」

龍は自分を指差して

「俺は…音痴で有名だ。」

そう言って新聞を読み始めた。
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