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第28章 最終章　天才、風香と翔

「ねぇ、武君、健君…
この風香ちゃんって？」

「あぁ、レコード屋の娘だよ。」

「レコード屋さんの…
でもあまり見かけないわね？」

「こいつ…普段は学校終ったら
隣町のライブハウスに行ってるから…
単独ライブをやってるんだ。」

「単独ライブ…」

「あまり売れない…
いわゆる地下アイドルだな。」

「ぼかっ！！」

「い、いてぇ！！」

「誰が売れない地下アイドルよ？」

風香が健を睨む。

「だって…全然お客が
入らないじゃないか？」

「うるさい！！
今は入らないけど…」

風香は下をむいた。

「まぁまぁ…」

結花は二人を止めて

「ねぇ、風香ちゃん？
風香ちゃんは唄うのがすきなの？」

「え？あんた…誰？」

「こ、こら！！風香！！
この人は龍さんの奥様だ！！」

「ふぅん…龍さんの…ねぇ？？」

じろじろと結花を見る風香。

「ま、龍さんも少しは女を
見る目があったのね？」

「おいおい…」

「でもやっぱり駄目ね？
龍さん…
風香を振った男ってろくなもんじゃないわ。」

「は、はぁ…」

「ゴンゴン！！」

「い、痛い！！
武、何するのよ！！」

「あのなぁ…
風香が龍さんに迫っても…
あの時はお前…小学生だろう？
龍さんだって困るぞ？」

「小学生のどこが悪いのよ？
こんな良い女を振るなんて！！」

「どこが？？」

健が何気なく言うと風香は

「もう一回…殴ろうか？」

「いや…遠慮しておく…」

「な、何この子…？？
凄い自信過剰？？」

結花は風香を見て混乱している。

風香は武に

「酒代の代わり…
仕方ないから店先で一曲
唄ってやるよ。」

「お？？良いのか？
風香？」

「まぁな…今日は何か
気が向いてから…
武、支度しろ。」