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《愛撫の先に…》
第8章 《レッスン―――…》

***

日曜の午後、
菜々美はスーパーの惣菜コーナーにいて出来合いのデミグラスソースのオムライスを見ていた。
「君の機嫌をなおすにはオムライスだ」
結城さん…

本屋に行き雑誌をパラパラと見て芸能人理想の旦那様特集に立ち読みをやめた。
「嘘は言わない」
「結婚等してはいない」
結城さん…

インテリアの店に入るが周り始めるとベッドが幾つも並んでいた。
「ベッドで君を待つ」
結城さん…

気合いの入らないジーンズにカットソーの菜々美はショッピングモールの鏡に映る姿を眺める。

『髪も結ばない化粧も控えめなあたし、
服も近くのコンビニに行くみたいな…
気合い入ってないなぁ』

つまんない…
帰ろう…

出ようと足早に歩くがポイントカードを勧める女性の声がする。
『こちらクレジット機能が今なら5000ポイントついてます』
クレジットカード…
「結城様」
あぁもう!
パウンドケーキの店まで思い出しちゃって!

昨日と同じように菜々美はモールに来ていながらも、浮かない顔で何も買わずに帰宅していた。

夕方18時、
シャワーも済ませテレビを見ていたが内容が頭に入らない。

19時近くに着信、相手は結城啓輔!
無視するかのようにソファーのクッションを抱きしめるが、
毎日このソファーを見る度・座る度にバックからの攻めを思い出していた。
「バックが好き?
いつもより糸をひいています」
結城さん…

あたし結城さんを忘れようとしているのに!
結城さんの事ばかり思い出してる…!

嫌だ、もう!

「嘘は言わない」
結城さん…

「あの男に腹がたっただけだ」
結城さん…

「セックスしないでお局さまになるの?」
陽子…

「ベッドで君を待つ」
結城さん…


もぉお、やだ!

また着信がきたが出ないとわかるとメールに変わった。
【いつもの君なら19時には来ていますね、
具合が悪くないなら迎えに行きます。
結城啓輔】

あぁもう!
菜々美は急いで泊まり用の荷造りを始めた。

どんなに拒絶しようとも抗えない恋心…――
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