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《愛撫の先に…》
第3章 《胸の思い…》
下着を掴んだあの男が前を歩き下着の匂いを嗅いで鼻の下をのばして、
不気味な笑いと息を吸い込むかすかな音。

いやらしい!
戻ってきたとしてもこの男が楽しんだ下着は棄ててやるわ!

両側で彼女の腕を掴む男らは抗議した。
『下着まわせよ』
だが男は渡す事もなく歩き続けた。

こんなの嫌ぁ!

『誰か助けてください!お願いします!』
歩きながら彼女は叫んだが虚しい結果だった。

前の男が止まり高そうなラブホに入っていった。

あぁもうダメ!
だけど叫ばないとあたしはこの人達に…
嫌よ!
その先を考えたくない!

『助けてください!
お願いします!
あたしこんな事望んでいない!』

誰もいない、誰も来ない。意を決して彼女は男の足をヒールで蹴った。
『いってぇな!この女!
ヒールで蹴るといてぇのわかんねぇのか!』
部屋のタッチパネルを見ていた男は振り向いて手を振り上げ。
パシッ‥
頬を殴られた菜々美は恐怖に震えた。
『もう一発!』


怖い!
怖い怖い!
ヒールで足を蹴らなきゃ良かった…

殴られる覚悟で目を閉じた彼女。


……
………
殴られない?


『嫌がっているでしょう、見苦しい真似はやめなさい』

えっ!
この声は―――――!
一度だけの男性、巷でかなりの有名人。
結城さん…
結城さん結城さん!

結城さん―――――!

目を開けると結城啓輔が男の腕をねじりあげていた。
『いてててて!離しやがれ!』
苦痛に顔を歪める男を結城はさらに力を込めて叩き落とすように腕を下げた。

同時に男の手から彼女の下着が落ちていく。

『結城さん…』
下着を拾い上げ結城は菜々美の前に差し出した。

『君の?』
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