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《愛撫の先に…》
第3章 《胸の思い…》
だが結城にそう聞かれても両側から腕を掴まれていては受け取れない。
『あの…』

『邪魔すんな、こらあ!』結城と菜々美の会話に割って入るかのように2人の男達は拳を握り結城目指して突き上げた。

『結城さん!』
菜々美は叫んだ。

男達を睨む彼の視線は菜々美を捉える。
逃げてと訴える君の声は必要ない…
と言わんばかりの結城の視線、
2方向から来る拳を右に左にと身を交わすフットワーク。

拳が空をきり空振りした事で男達は床に転がった。
脂ぎっしゅな男達は結城より太り動作も鈍い。

それに比べて結城は男達より背が高く痩せているが、フットワークや腕をねじりあげた力は何かスポーツをやっているかのよう。

『そんな格好で歩く君も悪いんだ』
金髪の髪がフットワークのなごりで毛先が揺れる。
見据えられる視線は鋭くても、安心感さえあった。

男達が起き上がろうとする瞬間に、
結城は菜々美の手を掴んで建物から出ていく。

繋がれた手と手。
ラブホから遠ざかるにつれ彼は彼女のヒールを気づかいゆっくりと歩いた。

コインパーキングには結城の車。
『乗りなさい、送っていく』
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