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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い



「どうだ、ミゲル教授の講義は」



夜、当然のことのように自分のベッドに入ってくるレオンにリリアは相変わらず背を向けていた



「お陰様で随分と学が増えました」

「つまらないのか?」

「……別にそんなことはないけど」



事実、新しい知識が増えるのは楽しかった

特に神について今までとは違った視点で説く哲学が面白い



「哲学が好きなんだろう? 神が何故人間を生み出したか嬉しそうに議論しているらしいな」

「それが?」

「いや……春になったら色々な所に連れて行ってやろう。お前もきっと気に入る場所に」

「……」



リリアは少し黙ったあと、眉間に皺を寄せてレオンを振り返った



「貴方のやりたいことがよく分からないわ。私に無理矢理いろんなことをやらせて、一体何がしたいの?」

「心外だな。私はお前にここでの生活を楽しんでもらおうと思っているだけだ」

「たがらどうして」

「理屈ではない」



レオンはリリアの髪をくるくると指で弄びながら言った



「言っただろう、お前に惚れたんだと」

「……またそうやって適当なこと言って」



愛の告白にリリアの顔は逆に険しくなる



「面白がっているだけでしょう」


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