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自殺願望~ねこと私~
第1章 拾い癖
シャワーを浴びおえても、まだ眠りこける男。

どれだけ人の家で眠り続けるつもりなのか?

ダイニングでけだるく頬杖をつき煙草をふかしながら見つめる。


ムニャムニャと口が動く無防備な姿に苦笑した。

人と長い時間、同じ空間にいるのは苦手だ。早く帰ってもらいたかった。

ベッドに近づき、どうしたものかと彼を見下ろす。

私の気配を鬱陶しいがるように寝返りをうって反対側を向いた。

柔らかそうな猫っ毛がフワリとゆれた。

その毛の塊はなんだか人ではなくて犬猫的なモフモフ感があり、何も考えず触れてしまった。

その毛はやっぱり柔らかくってスベスベと手に絡みつく。

そのうちに男はもっと撫でろとせがむように頭を擦り付けてきた。


起きてる。
それに気がついたから撫でるのを辞めた。

男は再び寝返りをうち、こちらに顔を向けるとゆっくりと瞼を開けた。


驚いた。

普通の男だと安心していたがそうではないようだ。


瞳の色は左右で違った。


幾重にも重なる色素に魅了された。


「綺麗でしょ?あなたになら魅せてあげる」

ふっと距離が近くなり、間近に顔が近づいた。

男はシェリー酒のような甘い香りがした。


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