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自殺願望~ねこと私~
第1章 拾い癖
「そろそろ、帰ってもらえる?」


その言葉に男は驚いた顔をした。


「死ねってこと?」


「意味がわからない?なんで帰ると死ぬのよ?」


「なんでって、陽の光を浴びると瞳が溶けるんだよ。瞳から溶け出して全身溶けてすぐに死ぬ。だから、暗くなるまでは外に出られない……
昨日、話したのに」


「そう……」


私は相手をするのが面倒くさかった。



「僕のこと拾った時に飼い殺してくれるって言ったのは覚えてる?」


「……」


当然そんなことは覚えていない。


でも、少しだけ自分が言いそうな事だと思った。


「昨日、いっぱい奉仕してあんなに気持ちよさそうにしてくれてたのにもしかしてそれも忘れちゃった?」


もちろん、覚えていない。


「何にも覚えていないの?」

私はひどく忘れっぽい。

でも、それに感謝してる。

私の生きてきた22年間、忘れたいことはあっても覚えておきたい事なんてなかった。


「私、仕事だから
今日は同伴だからそろそろ準備を始めないと」

そう言っても、男は帰る気配が全くなかった。

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