この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
砂の人形
第2章 パレードの夜
 そう、ちょうど一年前のあの夜、パレードが終わり、東の空が青白く輝き始め、人々が寝静まった頃。重い足取りで姫様の寝室へ向かう途中、渡り廊下で姫様に出くわした。姫様は、パレードの衣装のままだった。総レースの、白い細身のドレスを着て、自然に下ろした長い黒髪に、大きな薔薇を一輪刺していた。

「どこへ行くの?」
「あなたのところですよ」
「ふうん。珍しいわね。私が頼んだときは来ないのに」

 僕は、姫様のたった一人の騎士だった。仕事を分担することが出来ないから、他の王女の付き人たちのようにずっと付き添うことはできず、姫様はいつも不満を隠さなかった。敢えて遠ざけることも何度もしてきた。そんな日々でさえ、今よりずっと幸せだった気がする。

「すみません」

 声がつまってうまく話せない。いや、話すことなんか何もないんだ。ただ、姫様の寝室に押し入って……それで、どうにかしてしまうつもりだった。なのにこんな時に、なんだってこの人はこんなところにいるんだろう。

 僕が黙り込んでいると、姫様が大仰な溜息をついてみせた。それから近づいてきて、僕の袖口にそっと触れる。

「あなたって本当に、全然私の思い通りにならないわ。いつもそう。あなたが何を考えてるのか、私にはちっとも分からない」
/78ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ