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砂の人形
第1章 監視下の行為
 私は寝台の上で仰向けに寝転がり、窓掛布の隙間から射す光を眺めていた。砂漠の日差しに焼かれて、視界が白く濁る。燃えてなくなってしまえばいい、私の体ごと。そうでなければ、せめてこの心だけでも。

 だけど彼は、それを許さない。砂色の髪、日焼けした肌。くすんだ緑色の瞳が近づいてきて、頬に、熱い唇が押し付けられる。そして固く尖らせた舌が、目尻に向ってきつく舐め上げた。

「姫様。泣いていらっしゃる」

 低い囁きが耳元をくすぐる。熱い唇が触れると、私は、ますます泣きたくなってくる。うんざりするほど正直なこの体は、どこまで私の気持ちを裏切るつもりなの。

「痛い……ですか? いつもと同じようにしているつもりですが」
「別に。日を見ていたら、涙が出ただけよ」
「本当に? どこか痛めていらっしゃるなら、今日は……」
「お父様が許さないでしょう。あなたがしないと言ったって、他の人にやらせるだけだわ」
「そうですね」

 耳たぶに押し当てられていた唇が、唾液を引いて離れる。慣れた指が肌を這う感覚に、敷布を握る手に力が入る。痛みなんて感じるはずないと、彼はすぐに気づいたでしょうね。

 そして軽蔑するんでしょう、すぐに濡らしてしまう私を。テルベーザ……たった一人の騎士。私の宝物……決して手に入ることのない、私の大切な人。

「さすがモスリーン様」

 寝台のすぐ隣で、冷ややかな声がする。反対側からも、瓜二つの声が上がった。

「国王様のことを、誰よりわかっていらしゃる」
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