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砂の人形
第3章 過去の残り火
 あれから一年が経って、気持ちの整理も随分ついた。

 耐え難いことはいくつもあった。特に、テルベーザが私との関係よりお父様の命令を取ったこと。悲しかったけど、今はもう理解できる。お父様に見限られてしまえば、テルベーザはすぐにでも砂漠に放り出されてしまうものね。テルベーザは口癖のように言っていた。砂漠には二度と戻りたくないって。心の安らぐことが一つもない、恐ろしい場所だからって。

 ねえ。私がもし立派な王女で、あなたを守る力があれば。あなた、もっと私の言うこと聞いてくれるかしら。ああでもそれって、お父様の命令と何も違わないんだわ……。

「何を考えているんです?」

 耳元で声がして、私は薄く目を開けた。窓掛布から透ける灰色の日差しの中、見えるのはテルベーザの手と、白煉瓦の壁だけだった。

 今日のテルベーザは妙に執拗だった。いつもなら解放してくれる時間なのに、いつにも増して強く打ち付けてくる。膝立ちの私の体を壁に押し付けて、後ろから何度も突き上げる。それでも私が果てないので、困っているらしい。

 私は、彼の手を噛む力を強くした。仕返しのつもりなのか、肩を抑えていた手が伸びてきて、乳首をつねり上げる。そのまま壁にこすりつけられて、私はまた、テルベーザの手を噛み締めて達した。何度目か、もうわからない。なぜこんなに何度も……お父様の命令だろうか。なんとなく、そんな気がした。

 テルベーザが肩に噛み付くようにして吸い付いてくる。いつもならすぐに腰を引いてくれるのに、彼はますます深く突き入れていた。息が詰まって身をよじる。中で、彼の体が蠢くのを感じた。それから内側のひだに沿って、熱いものが広がっていく。テルベーザの体がすがりついてきて、荒れた息遣いと鼓動が、すごく近くに聞こえた。

「おや。騎士殿、珍しい粗相ですな」
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