この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
砂の人形
第5章 引力

「あまり広くしてしまうと、熱がこもりませんから」

 そう言うテルベーザの声はいつも通りだから、私は余計に恥ずかしくなる。どうしていつも私だけこんな風になってしまうの?

 テルベーザがそばに来ると胸が詰まって息ができない。言いたい言葉は一目散に体の奥底に引っ込んでしまって……彼が奥までやってくると、溢れ出しそうになる。

「毛布を一枚下に敷いて、その上に横になってください。もう一枚を上に掛けて」
「あなたはどうするのよ」
「僕は平気ですよ。皮鎧はけっこう暑いんです」
「そんなもの着て、ちゃんと休めるの?」
「深く眠るつもりはありませんから。僕は座って仮眠を取ります」

 そんな話がしたいんじゃないのよ。
 ねえ、本当にお父様の命令じゃないのよね? 私のためについてきてくれたのよね? さっきだって、ペテ様に嫉妬してくれただけなのよね?
 私のこと、愛してるんでしょ?
 声にならない言葉に溺れて、目頭が熱くなる。

「姫様はゆっくりお休みください。毛布を敷きますから」
「いい、自分でできるわ」

 暗闇の中でもう一枚の毛布を手繰り寄せる。テルベーザは入口の前で胡坐をかいたようだった。そこからできるだけ離れた場所に毛布を敷く。それでも、狭い天幕の中ではすぐ隣だけど。

「狭すぎるわ」
「すみません」

 毛布の上に横たわると、すぐ鼻先にテルベーザの膝があった。悔しいけれど、額が吸い寄せられる。テルベーザは膝をどかすこともせずに、じっと動かない。
/78ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ