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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
「海渡を初めて見た目とき、衝撃だったぜ。
成長したらこんなやつになったんだろうってな。
さすがにあいつみたいに金髪に青い瞳じゃねぇが、顔がそっくりなんだよ。
運命だって思ったぜ。」

そう言って一郎さんは寂しく笑う。

彼は結婚歴はないが、子供がいた。

純くんというらしい。

前に話してくれた、幼馴染みで初恋の紫さんというひととの子供だそうだ。

紫さんはここらへんの地主の娘さんらしく、結婚を反対され籍を入れないまま暮らしていた。

そしてやがて紫さんが妊娠して、籍をいれようとした。

けれどやはりそれでも籍を入れたら、一郎さんの商売をできないようにしてやると脅され、子供も諦めろと言われたらしい。

でも紫さんは産むことを決意し、純くんを産んだ。

ただ、産後の容態が安定せず24歳の若さで亡くなってしまった。

純くんは身体が弱かったが、優しくて口調が一郎さんそっくりで、紫さんをなくした悲しみから立ち直ったのは純くんがいたからだったそうだ。

そんな純くんが5歳のとき、小児がんが発覚する。

進行が早く、一年で純くんは亡くなってしまったそうだ。

そのあと、一郎さんは今の私みたいに脱け殻になってしまって、一時期は死のうかと思っていたらしい。

そんなとき、町で金髪の青い瞳の目立つ子供を見かける。

純くんの生まれ変わりかとおもうくらい似ているが、彼は傷だらけでいつもひとりで泣いていたらしい。

それが海渡だった。
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