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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
「あいつの母親は美人だがどうしようもないクズでな。
金と男にひたすらだらしねぇ。
海渡がまっすぐに育ったのは今でも不思議だ。」
そう言うとため息をついた。
彼は話してくれた。
彼の母親がスナック仲間にいい金づるが見つかったと話していたこと。
海渡の写真を見せたら、その男に彼を養子に出すかわりに借金を肩代わりにしてやると言われたこと。
海渡は拒否したが、断ったら私に危害を加えると脅された事。
悩み、あの手紙を書いたこと。
気づいた一郎さんが、バイト代とまとまったお金を渡して、誰にも気づかれずこの町から逃げろと言ったこと。
「なんで、私は……無事なんでしょうか?」
声を絞り出すように言うと、彼は笑って言った。
「あの女頭たりねぇからな。
俺がいってやったんだよ。
倫子ちゃんの両親はともに、優秀な弁護士だってことさえ知らなかったからな。
それを聞いたあの女、びびって急にだまりやがった。
海渡を逃がした一番の理由は、あの女と縁を切らせる為だ。
あのままじゃ、一生あいつはあの女に食いもんにされるからな……」
「どうして一郎さんは、海渡にそこまで親切にするんですか?」
私が不思議そうに言うと、彼は遠い目をして言った。
「俺には息子がいたんだよ…海渡や倫子ちゃんと同い年の息子がな……」
彼のその表情は、とても哀しい顔だった。
金と男にひたすらだらしねぇ。
海渡がまっすぐに育ったのは今でも不思議だ。」
そう言うとため息をついた。
彼は話してくれた。
彼の母親がスナック仲間にいい金づるが見つかったと話していたこと。
海渡の写真を見せたら、その男に彼を養子に出すかわりに借金を肩代わりにしてやると言われたこと。
海渡は拒否したが、断ったら私に危害を加えると脅された事。
悩み、あの手紙を書いたこと。
気づいた一郎さんが、バイト代とまとまったお金を渡して、誰にも気づかれずこの町から逃げろと言ったこと。
「なんで、私は……無事なんでしょうか?」
声を絞り出すように言うと、彼は笑って言った。
「あの女頭たりねぇからな。
俺がいってやったんだよ。
倫子ちゃんの両親はともに、優秀な弁護士だってことさえ知らなかったからな。
それを聞いたあの女、びびって急にだまりやがった。
海渡を逃がした一番の理由は、あの女と縁を切らせる為だ。
あのままじゃ、一生あいつはあの女に食いもんにされるからな……」
「どうして一郎さんは、海渡にそこまで親切にするんですか?」
私が不思議そうに言うと、彼は遠い目をして言った。
「俺には息子がいたんだよ…海渡や倫子ちゃんと同い年の息子がな……」
彼のその表情は、とても哀しい顔だった。