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茜色の空に
第6章 秋風の狂詩曲
「倫子はもしかして、水瀬くんを東京に探しにいくつもり?」

圭子に言われてどきっとした。

それも理由のひとつであることは確かだった。

「そうですね、もしかしたら…とはつい思ってしまいますね……」

圭子が少し悲しそうな顔をする。

ずっと圭子と田辺くんは、私に辛い思いをさせまいとして明るく振る舞ってくれた。

東京にいくのは、ふたりと離れることになる。

それでも、わたしは東京にいきたかった。

なんとなく、海渡は東京にいる気がしてしまうのだ。

やはり、探すべきじゃないとしても、いつでも彼の面影を探してしまう。

そんな毎日を過ごしているくらいなら、東京で探してみよう。

最近は、そう前向きに考えられるようになってきた。

「じゃあ倫子が東京にいるからって理由で、栄吉と一緒に遠征してやる!」

明るく言う圭子が少し羨ましいと思うこともある。

好きな人がそばにいる。

わたしには叶わないことなだけに、二人が羨ましく思えた。

放課後、あるひとが私を待っていた。

「待ちくたびれたよ、倫子ちゃーん!」

犬みたいに寄ってくるこのひとは、親方こと一郎さんだ。

警官にいかがわしい関係ではないかと職務質問されたり、援助交際だと噂されたりするけど、私は全く気にしない。

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