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茜色の空に
第7章 春の嵐
「やぁ、倫子ちゃん。やっぱりそういう格好のほうが君に似合ってるね。」

藤原さんは待ち合わせに現れた私をみて、そう言ってくれた。

あの夜のときとは違い、白いシャツにブルーのタイトジーンズ。

いつもの私は、もっぱらシンプルな格好が好きだった。

「あの日は、美香に無理矢理着替えさせられのです・・・」

そう言うと、藤原さんは爽やかに微笑み言った。

「ああいう刺激的な倫子ちゃんも素敵だと思うけど、俺は自然体の倫子ちゃんが一番綺麗だと思うよ。」

もう爽やか王子様すぎて、彼が別世界の人間に見える。

こんなことあの人は・・・

無意識に彼と比べる自分に嫌気がさしてしまい、その思考を彼方に追いやる。

藤原さんは年上で大人な印象そのままで、私をいろんなところにリードしてくれて気も使ってくれた。

本当に彼の彼女になるひとは、世界一幸せなんじゃないだろうかと思ってしまうくらいだ。

「藤原さんは、本当に人に親切にされる方なんですね。」

私がつい思ったことを口に出すと、藤原さんは照れて頭をかきながら言った。

「倫子ちゃんだからするんだよ。これは下心以外の何者でもないからね。」

彼が爽やかにそう言うと、それが本当か嘘か見抜けず私は思わず無言になってしまった。

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