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茜色の空に
第7章 春の嵐
「こういう場面で、どういう返答をしていいか正直わかりません・・・」

耳が真っ赤になるのを感じてしまい、恥ずかしくてどうしようもない。

そんな様子をみると、藤原さんは嬉しそうに笑って言った。

「そんな態度されると・・・俺、期待しちゃうからね?」

そう言ってさりげない仕草で、彼は私の手を握って歩き出した。

手を繋ぐなんて、海渡以外ない事で私は動揺してしまう。

おかげでせっかく見た映画だったのに、内容をさっぱりと頭に入ってこなかった。

「さて、映画も見終わった事だしこれからどうしよっか!」

彼は相変わらず普段通りの立ち振る舞いで、終始緊張したり恥ずかしくなっている私がいかに子供かを思い知らされる。

たった5年でこんなに人間変われたりするものなのだろうか?

彼をじっと見つめると、小さく笑ってこう言った。

「そんなじっと見つめられると、家に返したくなくなっちゃうよ?」

その瞳はとても魅惑的で、見つめているだけで吸い込まれそう・・・そう感じた。

「藤原さんは、そんなに大人で素敵なのになんで彼女がいないと言うのでしょうか?」

私がそう言うと、藤原さんが急に笑顔を消してこう答えた。

「だって、本当に好きな人といなければ意味がないからね。」

なぜか、そう答えた彼の表情は今までととても対照的で、凍てつくような冷たさを浮かべていた。
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