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茜色の空に
第7章 春の嵐
「確かに、そうですよね……」

少し冷たい彼の表情が気にはなったけれど、まだそんなに親しくもないのにあれこれ聞くのも気が引けた。

とりあえずお腹もすいたので、近くのイタリア料理の店に入る。

「倫子ちゃん真面目だよね。20歳になるまでお酒は飲まないの?」

藤原さんが笑いながら、ビールを口につけた。

「いえ……まだ一度も飲んだことがないので、飲めるかどうかも解らないですし。
20歳になったら一度ひとりで家ででも飲んでみようかと思ってるんです。」

そして私は少しばかり背伸びして、頼んだノンアルコールカクテルを飲む。

「倫子ちゃん可愛いのに、あんまり男に免疫なさそうだよね。
俺が何かするたびに、動揺してるからついからかいたくなる。」

藤原さんが嬉しそうに笑って言った。

動揺してるのがばれていて、正直恥ずかしい。

「今までひとりとしか付き合ったことないですし、こういう風にデートみたいな事をしたのも初めてなんです。」

私が笑ってそう言うと、藤原さんが意外そうな顔をしていった。

「俺はてっきり、倫子ちゃんはいまも彼氏がいる子なのかと思ってたよ。
なんとなくだけど、誰か好きな人いるでしょ?」

彼の洞察力の素晴らしさには、下手な隠し事は通用しないように思えた。
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