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茜色の空に
第7章 春の嵐
「ほとんど初対面の人に、ここまで言い当てられたのは初めてです。
ちょっと驚きました。
藤原さんには隠し事とか無理そうですね。」

私が少し苦笑してそう言うと、藤原さんは少し微妙な表情を浮かべた。

「ごめんね、なんとなくそう思っただけなんだ・・・」

藤原さんはそう言って少しだけ、落ち込んだ表情を見せる。

「そう、ずっと好きな人がいるんです。
初恋の人で初めて付き合った人です。
諦めが悪いと言われてしまうのは解っているのですが、いまだにその初恋が忘れられないんです。
きっと直接サヨナラを言われてないから余計なんだと思います・・・」

私がそう言うと、藤原さんは少し怪訝な顔をして言った。

「それはよくありきたりな、自然消滅してしまったって事?」

彼にそう言われて、普通のカップルでサヨナラを告げない別れ方は自然消滅なのかと、今更ながら認識する。

どう考えても、私たちの別れ方はある意味では自然消滅だけれども、やはり私の中ではそれとは違う気がした。

「ある日、突然最初からいなかったようにいなくなったんですよ。
1通の手紙だけ残して・・・だからいまでも探してしまうんです。」

私がそう言うと、藤原さんは少し後悔したような表情を浮かべて言った。

「つらい事を思い出させて、ごめん。」
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