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茜色の空に
第7章 春の嵐
「おう、久しぶりだなぁ。どうした?」
電話越しにその声を聞いて、私のこころのざわめきは少しずつ落ち着いていった。
本当の父親より、父親のような兄のような親近感を感じている存在は彼だけだ。
「急に連絡してごめんなさい、一郎さん・・・少し聞いてもらってもいいですか?」
私は少し緊張しながら、携帯電話に話しかける。
一郎さんは笑いながら、安心する声でこう言った。
「おう、いいぜ。」
その口調は、大好きなあの人を思い起こして少し動揺してしまう。
私は一言だけつぶやいた。
「彼以外に私は恋をする事は・・・裏切りになるでしょうか?」
一郎さんはその言葉を聞き少しだけ沈黙したが、吐き出すようにこう答えてくれた。
「倫子ちゃん、初恋っていうのはなぁ・・・叶わなかったからこそいい思い出になるんだよ。
もちろん倫子ちゃんと海渡の場合、自分たちの意志ではないものに引き裂かれたからこそ、相手を追い求めて想ってしまうのもわかる。
だがな、人は未来に進んでいかなければ脱げ殻になるだけだ。
こんな事を言うと残酷かもしれないけど、俺は倫子ちゃんにも海渡にもこの先たくさん恋をして欲しい。
そして、縁があってこの先二人で出会う事があれば、二人で笑いあえる関係でいて欲しい。
だから、罪悪感なんてもたずにたくさん恋をしてみればいいよ。」
一郎さんの言葉は、とても優しく私の心の中に溶けていくように響いた。
電話越しにその声を聞いて、私のこころのざわめきは少しずつ落ち着いていった。
本当の父親より、父親のような兄のような親近感を感じている存在は彼だけだ。
「急に連絡してごめんなさい、一郎さん・・・少し聞いてもらってもいいですか?」
私は少し緊張しながら、携帯電話に話しかける。
一郎さんは笑いながら、安心する声でこう言った。
「おう、いいぜ。」
その口調は、大好きなあの人を思い起こして少し動揺してしまう。
私は一言だけつぶやいた。
「彼以外に私は恋をする事は・・・裏切りになるでしょうか?」
一郎さんはその言葉を聞き少しだけ沈黙したが、吐き出すようにこう答えてくれた。
「倫子ちゃん、初恋っていうのはなぁ・・・叶わなかったからこそいい思い出になるんだよ。
もちろん倫子ちゃんと海渡の場合、自分たちの意志ではないものに引き裂かれたからこそ、相手を追い求めて想ってしまうのもわかる。
だがな、人は未来に進んでいかなければ脱げ殻になるだけだ。
こんな事を言うと残酷かもしれないけど、俺は倫子ちゃんにも海渡にもこの先たくさん恋をして欲しい。
そして、縁があってこの先二人で出会う事があれば、二人で笑いあえる関係でいて欲しい。
だから、罪悪感なんてもたずにたくさん恋をしてみればいいよ。」
一郎さんの言葉は、とても優しく私の心の中に溶けていくように響いた。