この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
茜色の空に
第7章 春の嵐
「おう、久しぶりだなぁ。どうした?」

電話越しにその声を聞いて、私のこころのざわめきは少しずつ落ち着いていった。

本当の父親より、父親のような兄のような親近感を感じている存在は彼だけだ。

「急に連絡してごめんなさい、一郎さん・・・少し聞いてもらってもいいですか?」

私は少し緊張しながら、携帯電話に話しかける。

一郎さんは笑いながら、安心する声でこう言った。

「おう、いいぜ。」

その口調は、大好きなあの人を思い起こして少し動揺してしまう。

私は一言だけつぶやいた。

「彼以外に私は恋をする事は・・・裏切りになるでしょうか?」

一郎さんはその言葉を聞き少しだけ沈黙したが、吐き出すようにこう答えてくれた。

「倫子ちゃん、初恋っていうのはなぁ・・・叶わなかったからこそいい思い出になるんだよ。
もちろん倫子ちゃんと海渡の場合、自分たちの意志ではないものに引き裂かれたからこそ、相手を追い求めて想ってしまうのもわかる。
だがな、人は未来に進んでいかなければ脱げ殻になるだけだ。
こんな事を言うと残酷かもしれないけど、俺は倫子ちゃんにも海渡にもこの先たくさん恋をして欲しい。
そして、縁があってこの先二人で出会う事があれば、二人で笑いあえる関係でいて欲しい。
だから、罪悪感なんてもたずにたくさん恋をしてみればいいよ。」

一郎さんの言葉は、とても優しく私の心の中に溶けていくように響いた。
/281ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ