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茜色の空に
第7章 春の嵐
一週間、結局返事を保留にしたまま時が過ぎた。

心の中で解っていても、やはりそう簡単に抱えていた想いは断ち切る事はできない。

バイトも講義もない日に、私は一人である場所に出かける事にした。

私の住んでるところから、30分ほどでつく大きな川があり大きな土手があるところ。

そう、ここは心に迷いがある時に来る場所。

近くに競艇場があり、どこかの大学のボート部の施設がいくつかある場所だ。

どこかこの景色が、あの時彼と歩いた茜色の空の景色に似ているから、この場所に来ると彼を思いだした。

「会いたいな・・・」

小さくそうつぶやく。

夕陽が射し、川面がオレンジ色に染まる。

いい加減いろいろ考えるのはやめにして、自分の気持ちを決めよう。

そう想ってここへ来たものの、夕陽がさして人がまばらになった土手はなにも応えてはくれない。

どこかから、彼の声が聞こえた気がした。

『倫子』

でもそれは土手の強い風にかき消されて消える。

もう、過去は戻ってはこない・・・でも生きていればまた会える。

「さよなら・・・いつまでもあなたの事が・・・大好きです・・・」

小さくつぶやくと、頬を涙が伝っていく。

忘れる事はできないけれど、思い出にする事はできるから。
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