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茜色の空に
第8章 雪の華
俺の部屋は、高木家のあまった部屋の一室の角部屋だ。

一度、店を改築したときに建て直したらしく、高木家は築5年もたっていないような家で、俺は最初こんないい家に住むのは初めてすぎて動揺した。

俺が住んでる家で記憶があるのは、あの忌まわしいボロアパートだけだ。

もうすぐクリスマスなんだよな・・・そう思い窓の外をぼんやりと眺める。

俺の誕生日はもうすぐ迫っていて、その日が来ると俺は見事に成人する。

その時を待って、俺は戸籍を分籍する為に一度あの土地に戻らなければならない。

一瞬でも奇跡で倫子に会えないだろうか・・・でも今更俺が現れても迷惑でしかない可能性も高い。

もう忘れなけりゃいけねぇよなぁ・・・そう思いながら1枚の写真を眺める。

俺と倫子と永吉と鈴木で撮った唯一二人が映っている写真。

どうしても、あの土地を出る時この写真だけは捨てる事ができなかった。

「倫子・・・あいてぇな・・・」

俺は小さく呟く。

そして目を閉じて思い出す。

倫子の笑顔や泣き顔、俺の名前を呼ぶ声、抱きしめる体の心地よさや、体を重ねた時の感触・・・
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