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茜色の空に
第8章 雪の華
心のどこかで、彼女の気持ちは解っていたはずだった。

だけど、見て見ぬ振りをしていた。

それはきっと・・・

思わず、玲奈の手を取る。

あったけぇな・・・女の手とか握るのは倫子以来だな・・・

そんな事を考えながら、玲奈の瞳をのぞき込む。

玲奈は少し、驚いた顔をして俺の目を探るように見つめる。

俺は、少し笑って言った。

「俺さ、今までひとりの女しか好きになった事ねぇんだ。
ずっとそれが忘れられねぇ・・・でも解ってるんだよ・・・もう二度と会えない事なんて。
でも、なんでだろうな・・・お前と一緒に笑ってるとなんかよく解らないけど落ち着く。
好きって気持ちかわかんねぇ・・・自分勝手だって解っているけれど、お前の笑ってる顔は見ていたい。」

自分でひどい事を言ってるのは解っていた。

好きな人がいるのに、そばにいて欲しいとか言ってること無茶苦茶だ。

玲奈にどんなになじられても構わない、って思っていた。

彼女がそっと俺の手を握りしめて言う。

「それでも構わないです・・・私、海渡さんが好きです。
何年かかってもいいから、傍にいたい・・・」

そっと、彼女の瞳から流れている涙を指でぬぐって笑いながら言った。

「お前、泣きすぎ。
ひでぇ顔してんなよ、可愛い顔が台無しだろ?」

なぁ倫子、俺はお前を忘れたわけじゃねぇけど、こうやってお前への想いは思い出になっていくんだろうか?
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